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『ICTとハビトゥス』なんてタイトルをつけてしまいましたが、そもそも「ハビトゥス」、あまり聞きなれない言葉ですね^^;
「ハビトゥス」は、もともと社会学で出てくる言葉です。人の行動は、日常生活や文化などの社会的影響を受けており、ほとんど無意識の中で半自動的に習得していくという概念だそうです。
例えば、家の上がり方。日本では靴を脱いで家にあがりますが、アメリカでは靴を履いたままです。この「家にあがるときは靴を脱ぐ」というのは文化的なもので、私たちは特に教えられるわけでなく、ほとんど自然に習得しています。一方、外国から日本に来た人は、「家にあがるときは靴を脱ぐ」ということを学習しなくてはならないのです。
このように、私たちの行動は、日常生活の環境が大きく影響しているのです。
ですので、特別支援教育についても、訓練的な指導だけではなかなか日常生活に般化されず、日常生活に基づく経験的な指導が求められます。
さて、タイトルの『ICTとハビトゥス』に戻ります。
と言いながらいきなり逸れますが、「デジタルネイティブ」という言葉をご存知でしょうか。
「デジタルネイティブ」とは、生まれた時からインターネットやパソコンなどICT機器が普及した環境で育った世代のことを指します。反対語は「デジタルイミグラント」。
「デジタルネイティブ」は、生まれた時からそのような環境の中で育っているので、ICT機器に対する抵抗感が少なく、ほとんど自然に利用します。一方、「デジタルイミグラント」は、これまで過ごしてきた(育ってきた)環境が変化してしまったため、ICTを利用することを学習しなくてはなりません。
まさに、ハビトゥス!!(ようやくつながりました)
ICTを活用した教育が現在求められています。
「デジタルネイティブ」の児童・生徒と「デジタルイミグラント」の指導者。
ねじれの状態が生じているのが現状です。
このような状況でどのようにしたらICTを活用した教育が子どもたちにできるのか。
よく考えないといけませんね。
ちなみに、「デジタルネイティブ」と「デジタルイミグラント」の判別の仕方ですが、デジタルカメラを見せて、「これなんだ?」と聞くとわかるそうです。
「デジカメ」と答えた人→デジタルイミグラント
「カメラ」と答えた人→デジタルネイティブ
ちなみに僕はデジタルイミグラントです。「写るんです」世代です。
文責:鈴木
坂井 聡(さかいさとし)sakai.satoshi@kagawa-u.ac.jp
香川大学教育学部 特別支援教育領域 教授 言語聴覚士 公認心理師
〒760-8522 高松市幸町1-1 TEL
087-832-1551
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